1999年著作

大胆図解

日本の白書

現在、日本で発行されている
主要31白書を 大胆に図解、解説

複雑で巨大な“日本という国”の現状と
今後の課題が一目瞭然!

平成11年版経済白書も収録!

 

 

 宮城大学教授 久恒 啓一

 

     発行同文館出版株式会社
     価格 1,900円(税別)

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まえがき
 21世紀を目前に控えた今、日本は、過去からの延長線上の手法では解決できない問題が山積みし、たちすくんでいる。巨大な経済の揺らぎによって、世界の問題に直結する深刻な事態に立ち至っているのだ。その複雑で巨大な“日本という国”の現状や問題点、そして全体像や個々の分野同士の関係をつかむのは至難の技となっている。「群盲象をなでる」という状態が、ますます現状の診断や将来へ向けての処方を難しくしている。
 経済、政治、社会の実態を、国民に周知することを主眼とした各種の「白書」は、観光白書、環境白書など、法律の規定に基づいて国会に提出する報告書と、経済白書、通信白書など、閣議への報告書があり、その総数は平成10年度版で41を数えている。
 日本の官庁は、日本最大のシンクタンクであり、もてる力を存分に使って、政策立案のために必要な統計や資料を言って二握っている。「白書」は、各省庁が担当する分野に関し、日本が置かれている状況と実態を明らかにし、広く国民に知らせるとともに、今後どう取り込むかを示しているため、現時点での日本の全体像を知るには、最も役に立つ情報源になっている。
 「白書」の作り方については、各省庁で工夫を凝らしているが、文章を中心とした本編と統計資料やグラフを用いたデータ編で構成されているのが一般的である。
 各省庁のつくる白書は、つくるための労力に比して、読む、活用する度合いが少ないのが現状であろう。その一因は、長い文章による説明と難解な専門用語、行政用語の使用にあると考えられる。
 私は、産業界、官界、学界、言論界を問わず、物事を理解し、企画し、伝達する手段として、文章はあまりにも偏重していることが、共通の理解を妨げていると感じており、「図解」という表現手段を経済や行政、教育の現場に導入することが必要と考え、実践を続けている。そして、このたび、日本政府の発行するほとんどの白書を材料に、解説と図解化の作業を行う機会を得た。
 本書は、全体の構造と個々の部分同士の関係を表現することが出来る「図解」という表現手段を用いて、日本全体の現状や問題点の構造と、各分野同士の関係を明らかにすることを目的としている。
 主として、平成10年に発行された主要白書を対象としたが、平成11年に発行された白書は一部を除いて、今回手をつけることが、時間的・労力的に許されなかった。残念ではあるが、次回の課題とすることをお許しいただきたい。
 内容については、各白書の正しい理解を目指したというよりも、私自身が、各白書を「このように理解した」という形になっている点を記しておきたい。また、個人的に関心の強い分野については、説明が詳しくなっていることと、出来る限る長期的な視点からポイントをピックアップしている点も付け加えておきたい。
 評価は、読者にお任せするが。この仕事を終えた今、各省庁の白書が優れた内容をもっていることを改めて確認すると同時に、日本という巨大な国家の全体像(この国のかたち)が、少しは理解できたという感慨も持っている。
 以前から、日本の各省庁が定期的に出す「白書」を理解するために、いつか「図解・日本の白書」に挑戦したいと考えてきた。そのような折、30冊以上にも及ぶ厚い白書を読み、図解にして一冊の本にまとめると言うアイディアに対して賛同していただけた、同文館出版株式会社の編集長古市達彦氏に巡りあうことができ、この企画に朝鮮する機械を得たのは幸運だったと感じている。
 本書が、現代の日本の現状を課題を明らかにし、将来を考え、議論する材料になれば、これにまさる喜びはない。
1999年9月
宮城大学事業構想学部教授 久恒 啓一
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