キーワードの設定については、原案の言葉を様々な角度からとらえ直しながら、自分の理解の及ぶ範囲で言葉を揃えていくという作業が、重要なポイントとなります。
これは、平仮名で統一するとか、カタカナを必ず入れるとか、あるいは「○○しやすい」と言うように揃える、などといったことです。
このように工夫されたキーワードは頭にすんなりと入ってきます。
図解でもタイトルやキーワードを考える場合、どの言葉を使うかが勝負になりますが、図解の発達が早い人は、このような場面でも言葉がいいのも事実です。
しかし、誰もがこのように感覚が鋭いわけではないので、ここではいかにキーワードの設定をするか、その方法を紹介したいと思います。
1■キーワードのひねり出しパターン
キーワードは黙って文章や材料を眺めているだけで、いきなり出てくるほど安易なものではありません。
キーワードを考え出すには、自分の得意なキーワードのパターンを持つことが有効です。
たとえば、「時間的要素と空間的要素」というパターンで考えたり、会社経営というテーマでよく持ち出される「ヒト、モノ、カネ」というパターンに情報やシステムを加えて
考える習慣を持つ事は、一つのテクニックと言えるでしょう。
具体的には、「ヒト、モノ、カネ」という企業経営についてのキーワードを自分の人生に当てはめて人生戦略を考えると「友人、知人、恩師」、「独自の情報源」、「自由時間」、「財産」
、「可処分利益」といったキーワードを生み出すことが出来るわけです。
産業界のメインストリームは、かつての「重・厚・長・大」から「軽・薄・短・小」へ、そして、「美・感・遊・創」へと変化してきています。
人々の 生活も、それを応援する企業の経営戦略や商品の開発も、「美しさ」、「感性」、「遊び感覚」、「創造」といったキーワードで考えるというのが「美・感・遊・創」です。
また、「運・鈍・根」というキーワードが人生の成功において重要であるといわれたことがありました。
運がよい、逆境に強い鈍さがある、一つの事をやり遂げる根気がある--この三つの条件が成功へのパスポートであるという意見です。
更に政治の分野では、選挙の時などに「地盤・看板・カバン」というキーワードが使われる事があります。
候補者の選挙参謀が、「うちの先生は看板がよいのだが、地盤が弱い。この部分をみんなで応援しようじゃないか」 と説明することで、講演会の人々には何が言いたいのかがすぐにわかるわけです。
「自分の得意なキーワードのパターンを持つ」というやり方の他に、「似た言葉や対極にある言葉」を使って考えるという方法もあります。
たとえば「企画力]を例にとった場合、まずは「企画」と似た言葉を探します。すぐに思いつく言葉に「計画」があります。
『広辞苑』では「計画」は、「物事を行うに当たって、方法・手順などを考える企てること」とあり、「企画」は、「計画を立てること」となっています。
このように、似た言葉や対極にある言葉を使って考えることで、より理解が深まることを実感できるわけです。
一つの例として”優れた人材”をキーワードで考えてみた場合、どのようになるでしょうか。すぐに思いつくのは「名人」という言葉です。
将棋や囲碁の世界はいうまでもなく、芸術の分野など、各分野の中で秀でたひとのことを「名人」と呼ぶことが多いようです。
そして、その延長線上に「達人」という言葉が出てきます。
こちらは“旅の達人”とか“仕事の達人”などといったように「名人」よりも少し軽い感じで使われています。
他にも、テレビの人気番組で使われて流行語になった「鉄人」という言葉は、その道のプロを連想させます。
キーワードの設定は、図解を行ううえで重要な役割を占めています。そのキーワードをひねり出す力、創り出す力を、ぜひ磨いてください。 |