1.「理解」のための図解表現法 1.理解のための図解表現法
図解をつくる上で心に留めておかなくてはならないのは「図解には絶対の正解はない」ということです。 もともと図解にはよい図解と悪い図解しかありません。そしてよい図解にはさらによい図解があり、悪い図解にもさらに悪い図解があるということです。
つまり図解のできばえは相対的なものにしかすぎません。 例えばコンピュータ、通信、流通、ファッション、コンサルタント、教育事業、文筆業、秘書、先生、メーカーなど、職業には様々な種類があります。職業が違えば着目するポイントが異なり、出来上がった図解も微妙に違ってきます。また、男性と女性でも出来上がった図の雰囲気が違ってきます。
聞き手によって関心のある部分が異なり、表現力が違うため、結果として様々なタイプの図解ができてきます。 図解には各人の人生で得た経験や過去に獲得した知識、現在の立場、性別、年齢、関心分野などが色濃く反映します。つまり、図解の中に自分の理解のレベルが現れるのです。
相手の発言を大きく誤解したり、歪曲したりして、原形をとどめないくらいに自分の意見を入れていくということは避けて、できるだけ原文や原形を生かしながら、なおかつそれを超える情報をつくりだそうとするのが図解コミュニケーションの精神です。 そこで「理解のための図解表現法」ということになりますが、これは図解の技術を活用して、複雑な内容を理解しようということです。
(1) 図解で全体が見渡せる あるテレビ番組で「カラオケ」についての特集でコメントを求められたことがあります。その時につくった図解です。 カラオケ低迷の原因、卓球ブームの再来、カラオケの本質、景気との低迷との関係、カラオケ産業への提言などが盛り込んでいます。資料の読み込みや自身の体験、そして他の人々への質問などの様々の部分を一枚の紙に配置することになりました。部分同士をつなぐストーリーを考えながら全体図ができあがりました。
テレビのコメントなので、自己満足産業などの面白いキーワードを出したり、対策としてライフスタイルの提案をしたり若干の工夫も入れてあります。この図解を見ながらインタビューに答えていくのですが、カラオケに関する資料やデータ、考えや提案の全体がともかくも一枚にまとまっていることで、平静にしゃべることができました。全体が見渡せることが大切です。
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