1999.12

上杉虎彦の1999年版白書を読む

 白書を読むのは一年ぶりである。日本の白書のクオリティは年とともに上がっている。1998年に比べて99年の白書の選定は、新しく発行された様々な白書を評価することが大きなテーマになっている。
 その意味でも『大胆図解 日本の白書』は現在日本で発行されている31の白書を図解を使って解説し、厚い白書を全て読まなくてもその要点が見てわかる非常に便利でわかりやすい本である。多くの白書を横断的に読むのと同じくらい現在の日本の姿をよく理解することが出来る。この本を見ると白書の質がわかり、評価もただちに出てしまう本である。
 白書というのはそれぞれの分野の総括的なまとめであるが、この本のようにそれを図解した例は21世紀を迎える日本の現状を認識するにはきわめて有効である。著者の久恒啓一は図解の専門家。必読の一冊である。
(中略)
 役所が編集した白書と役所の下にぶら下がっている団体が編集した白書と民間が編集した白書の大きく分けて三つがあると指摘したが、さらにそれぞれが二つに分かれるということに気が付いた。よく出来た白書と、やる気の無い白書である。それぞれの白書についてはっきりとした評価をすることは差し控えたいが、それは手にとって見られたら、一目瞭然である。その意味で比較論というのは重要である。また文字を多用した白書を出来るだけわかりやすく再編集する努力も重要であろう。政府と政府関係機関の発行する白書についての表現様式のガイドラインを考える必要があるのではないだろうか。同時にそういうものを採択するのであれば、少なくとも過去10年間の白書を書き直して、比較できるようになれば、施策の動向などが大変わかりやすくなって便利である。民間も追従するであろう。政府の刊行物の質がさらに問われているのだ。
(文中敬称略)
日経PC21  12月号

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