平成10年 5月28日 気仙沼かほく
亀山リフト・岩井崎プロムナード・市営旅客船
3事業の民会委託 手法模索始まる
 行政改革に向けた気仙沼市長の諮問機関「気仙沼市行政改革推進懇話会」の初会議が、27日市役所で開かれた。委員長に東北大大学院情報科学研究科助教授の新川達郎氏、副委員長に宮城大学教授の久恒啓一氏を選出。産・学・官・民の有識者7人の委員による新しい時代の行政構築を目指した論議が始まった。市が行政改革の重要課題として取り組んでいる項目のうち、特に中・長期の課題である亀山リフト、岩井崎プロムナードセンター、市営旅客船の3事業の民間委託について大局的な見地から話し合い、今後の方向性を見出していく。
 第1回懇話会では、鈴木昇市長が委員1人ひとりに委嘱状を交付し「懇話会は特に民間委託事業を主なテーマに有職者から意見を聞くため設置した。みなさんの意見は当市の行革推進に向けた指針となります」などと協力を要請した。
 懇話会設置要綱の説明に続き、委員長、副委員長を互選。委員長になった新川氏は「市の行革に貢献できる提案をしたいと考えている。課題も山積みしているが、みなさんの協力をお願いします」と述べた。
 この後、庶務担当の市総務課が、第4次行政改革における市のこれまでの取り組みを説明。小野寺暁一産業部長が民間委託を検討している市営旅客船、亀山リフト、岩井崎プロムナードセンターの現状などを説明した。
 3事業は施設の老朽化、利用者の現象などで厳しい経営が続いている。委員からは「公共サービスと採算分岐点にどう妥協点を見出すかが必要」との意見や「行政が観光事業に手を出すこと自体がおかしい」との厳しい指摘もあった。
 懇話会の実質的な審議は次回から活発化することになる。
 気仙沼市は昭和54年から62年まで3次にわたる行政改革を実施したが、厳しい行財政、多様化する市民ニーズに対応するため、平成8年7月に第4次行政改革大綱を策定し、行政改革に取り組んでいる。
 大綱重点項目として職員定数の見直しと適正配置、各種審議会の整理合理化、情報公開に向けた検討組織の設置、情報処理システムの開発・改善、窓口サービス体制の強化や亀山リフトなどの民会委託推進―をはじめ15項目を掲げている。
 実施期間は10年度までの3年間を基本としているが、期間内に実施できない事項は、中・長期事業として計画的に実施していく。これまでに、職員数の削減や公民館、市民会館、市図書館の館長に民間人の登用を実施したほか、11年度中に情報公開制度を導入する準備を進めている。また、職員の優れた意見を市政に反映させるため、昨年7月に「職員提案制度」を制定、今年6月からは若手職員と市長との「市政を語る会」を毎月1回のペースで開催する。今年2月には行革に市民の意見を反映させるため、民間の委員10人で構成する行政改革推進委員会を発足させている。

気仙沼河北新報社提供

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